日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
バイオマス燃焼灰のリン酸の形態とコマツナに対する肥効
小林 透田中 章浩
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2015 年 84 巻 3 号 p. 309-314

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抄録

バイオマス燃焼灰の肥料利用促進を目的に,燃焼灰に含まれるリン酸の形態およびリン酸の肥効について検討した.鶏ふん燃焼灰(以下鶏ふん灰), 牛ふん堆肥ペレット燃焼灰(以下牛ふん灰)を供試し,リン酸の含量を測定した.その結果,燃焼灰のリン酸含量は鶏ふん灰 27.23%,牛ふん灰 7.93%であった.燃焼灰に含まれるリン酸うち,水溶性リン酸,く溶性リン酸の割合は,く溶性リン酸は鶏ふん灰92.2%,牛ふん灰99.3%であり,水溶性リン酸はほとんど含まれていなかった.このため,燃焼灰に含まれるリン酸はそのほとんどが,可給態リン酸であると考えられた.コマツナを用いポット栽培を行い燃焼灰の肥効を溶成リン肥と比較したところ,溶成リン肥と同等以上の肥効を示した.圃場栽培において燃焼灰と化成肥料を用いてコマツナを栽培したところ,生育,収量,リン酸肥効は化成肥料区と有意差は認められなかった.以上の結果,バイオマス燃焼灰はリン酸肥料の代替利用が可能であると考えられる.

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© 2015 日本作物学会
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