日本作物学会紀事
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栽培
バガス炭を担体としたリン溶解菌による難溶性無機リン酸の可溶化が株出しサトウキビの生育および養分吸収に及ぼす影響
前里 和洋中原 麻衣小宮 康明上野 正実川満 芳信
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2016 年 85 巻 3 号 p. 246-252

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抄録

リン溶解菌を含むバガス炭とバガス施用による難溶性無機リン酸の可溶化が沖縄県宮古島の暗赤色土で栽培したサトウキビの生育および養分吸収に及ぼす影響を明らかにするために,リン溶解菌の同定,栽培試験および土壌分析を行った.リン溶解菌として供試した菌株22は,Bacillus thuringiensisと同定した.バガスの炭化物であるバガス炭の物理性について検討したpF-水分曲線の結果から,バガス炭は木炭に比べ保水性が大きく,多量の水分を空隙に保持することが示された.このことからバガス炭は菌株22が増殖する上で好適な環境をもたらすと推察された.菌株22接種バガス炭とバガスの混合資材を施用した土壌で栽培した株出しサトウキビの生育は促進され,リンの吸収も高まった.したがって,易分解性のバガスとともに,リン溶解菌をバガス炭に定着させて土壌に施用することによって,難溶性無機リン酸の可溶化を促進し,株出しサトウキビによるリンの吸収量が高まると結論づけた.

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© 2016 日本作物学会
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