日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
ハウス栽培ホウレンソウの夏期作の生育を改善させる作付体系
森山 真久
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2016 年 85 巻 3 号 p. 316-326

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抄録

ハウス栽培 (雨よけ) ホウレンソウは,東北地方北部における野菜作の主要品目のひとつであり,冬季を除いて年間4作から5作される.このうち,7月から9月に作付けられる夏期作 (2作) は収量が低く,その要因の一つには連作障害があると思われる.そこで,連作を避ける作付体系によって夏期作の収量性を改善させる方法を検討した.すなわち,慣行の連作体系で夏期作の「前作」となっているホウレンソウの春期作 (4月から6月の2作) の代替として,野菜類5品目 (エダマメ,サヤインゲン,ゴボウ,ニンジン,コマツナ) と休閑とを組み合わせた8つの作付体系を設定し,それらの導入が夏期作ホウレンソウの生育に及ぼす影響を調査した.その結果,次のことが明らかとなった.第一に,夏期作ホウレンソウ2作のうち,1作目の地上部乾物重は,春期作をエダマメ,サヤインゲン,ゴボウ,ニンジンおよび休閑とする5体系で,連作体系より増加した.第二に,同じく夏期作ホウレンソウ1作目の地上部乾物重は,ホウレンソウの春期作を2作から1作に減らし,残りの1作分の期間をコマツナあるいは休閑とする3体系では,連作体系と同等であった.第三に,夏期作ホウレンソウ2作目の地上部乾物重は,生育初期の一部を除き,8体系と連作体系との差異は認められなかった.

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© 2016 日本作物学会
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