日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
普通ソバ難脱粒系統の登熟中およびコンバイン収穫時に発生する損失の評価
森下 敏和鈴木 達郎
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2017 年 86 巻 1 号 p. 62-69

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抄録

普通ソバは脱粒しやすいことが収量の損失をもたらしている.そこでグリーンフラワータイプの「難脱粒系統」と北海道の主力品種である「キタワセソバ」を供試して難脱粒性が損失の軽減に有効であるかどうかを明らかにするために,北海道農業研究センターの試験圃場(芽室町)で2012~2014年の3年間,およびソバ産地の現地圃場(北竜町)で2013~2015年の3年間,コンバイン収穫試験を実施した.コンバイン収穫適期である標準刈では「難脱粒系統」の‘脱穀選別損失’が大きいため「キタワセソバ」よりも損失割合が大きかった.一方刈り遅れ想定した遅刈の場合,「難脱粒系統」の‘頭部損失’は遅刈により増加したものの,「キタワセソバ」の‘自然脱粒損失’の増加と「難脱粒系統」の‘脱穀選別損失’の減少により,「難脱粒系統」の子実の損失の割合は「キタワセソバ」よりも少なかった.さらに降雨や強風および極遅刈条件等,脱粒が多発しやすい環境下では,「難脱粒系統」は自然脱粒の抑制により子実の損失を軽減させるのに有効であることが示された.

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© 2017 日本作物学会
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