黒ボク土の水田転換畑にて,プラウ耕がトウモロコシの生育および子実収量に及ぼす影響を明らかにした.試験は,黒ボク土の水田転換畑にロータリ区およびプラウ区を設け,2014年および2015年の5月下旬にトウモロコシ2品種を播種して実施した.絹糸抽出期がプラウ区で1~2日早まったが,草高,葉色値および葉面積指数に耕起法による顕著な差はみられなかった.2ヶ年ともに根長密度に耕起法による差は認められなかったが,雄穂形成期から乳熟期までプラウ区でやや大きい傾向がみられた.地上部乾物重は,2014年のみ乳熟期および糊熟期にロータリ区よりプラウ区で大きい傾向がみられた.子実収量について,2014年はロータリ区と比較してプラウ区で高い傾向が認められたが,2015年は耕起法による差はみられなかった.しかし,2015年の子実収量は2014年より22%高かった.これは絹糸抽出期から絹糸抽出後2週間の積算日照時間が2014年で平年比48%と寡照であったこと,2015年は気象条件に恵まれ子実収量が多くなったことによると推察された.以上のように,黒ボク土の水田転換畑におけるプラウ耕は慣行耕起法であるロータリ耕と比較して生育の抑制や子実収量の低下を引き起こさないことから,水田転換畑における子実用トウモロコシ栽培ではプラウ耕でも十分に対応できることが明らかとなった.