Glu-B1 (b, i) とGlu-B3 (i, g) およびWx-B1 (a, b) の8タイプの準同質遺伝子系統を用いて,製パン性に及ぼす遺伝子型の効果を検討した.Glu-B1iおよびGlu-B3gを同時に保持した系統は,SDS沈降量が多く,ミキシング時間が長く,パン比容積が大きかった.また,Glu-B3g型の系統は,Glu-B3i型の系統よりもパンクラムの弾力が大きかった.Wx-B1b型の系統はパンのクラムが柔らかく,焼成後の老化程度も小さい傾向があったが,弾力性が少ない傾向であった.また,Wx-B1b型の系統は,Glu-B1bを同時に保持した場合,パン比容積が小さかった.以上から,パンのクラムを柔らかくして老化を遅延させるにはWx-B1b,パンクラムに弾力性を付加する場合にはWx-B1aおよびGlu-B3gの導入が有効と考えられた.また,生地物性が弱い系統の改良においては,パン比容積の向上のためにGlu-B1iおよびGlu-B3gの同時導入が有効と考えられた.