日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
製パン品質におけるGlu-B1Glu-B3およびWx-B1遺伝子の効果
中道 浩司阿部 珠代粕谷 雅志神野 裕信
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キーワード: Glu-B1, Glu-B3, コムギ, 製パン性, Wx-B1
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2018 年 87 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

Glu-B1b, i) とGlu-B3i, g) およびWx-B1a, b) の8タイプの準同質遺伝子系統を用いて,製パン性に及ぼす遺伝子型の効果を検討した.Glu-B1iおよびGlu-B3gを同時に保持した系統は,SDS沈降量が多く,ミキシング時間が長く,パン比容積が大きかった.また,Glu-B3g型の系統は,Glu-B3i型の系統よりもパンクラムの弾力が大きかった.Wx-B1b型の系統はパンのクラムが柔らかく,焼成後の老化程度も小さい傾向があったが,弾力性が少ない傾向であった.また,Wx-B1b型の系統は,Glu-B1bを同時に保持した場合,パン比容積が小さかった.以上から,パンのクラムを柔らかくして老化を遅延させるにはWx-B1b,パンクラムに弾力性を付加する場合にはWx-B1aおよびGlu-B3gの導入が有効と考えられた.また,生地物性が弱い系統の改良においては,パン比容積の向上のためにGlu-B1iおよびGlu-B3gの同時導入が有効と考えられた.

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© 2018 日本作物学会
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