日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
品種・遺伝資源
油料アマ(Linum usitatissimum L.)の栽植密度が収量と収量構成要素に及ぼす影響
中元 朋実堀元 栄枝
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 87 巻 1 号 p. 61-66

詳細
抄録

アマの栽植密度の違いが収量と収量構成要素に及ぼす影響について検討した.油料アマの品種Lirinaを,2014年から2016年に3月中旬から4月中旬にかけての3つの時期に播種した.条間を30 cmとしてドリル播きした後に,個体の間隔がおよそ1 cm,2 cm,4 cmとなるように間引きを行い,栽植密度に3水準を設けた.収穫時の栽植密度は250~330個体 m–2 (H),150~160個体 m–2 (M),75~85個体 m–2 (L)であった.単位面積あたりの蒴数は,2016年のL区でH区に比べ少なかったことを除けば,栽植密度間に差がみとめられなかった.いずれの年においても,単位面積あたりの蒴数の決定に関わる3つの要素,個体あたりの茎数(主茎と一次分枝の数),茎あたりの花序分枝の数,花序分枝あたりの蒴数はいずれも,栽植密度が低いほど大きかった.いっぽう,蒴あたりの種子数,種子一粒重,種子収量には栽植密度間差はみとめられなかった.低い栽植密度の下では,一次分枝の発生,花序分枝の発生,花の分化の3つの補償的な過程を通じて,単位面積あたりの蒴数ひいては種子収量を一定に保つ過程が働いていることが示された.

著者関連情報
© 2018 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top