SP1遺伝子の変異により極短穂性を示す品種は,牛が消化しにくい籾が少なく,茎葉が多収であるため稲発酵粗飼料用として期待されているが,同様の理由から効率的な種子生産方法の開発が課題となる.現在までに,極短穂性を示す品種の種子生産方法の検討が行われているが,「たちすずか」で有効とされる栽培処理が,必ずしも「たちあやか」では有効ではない.本試験では,極短穂性品種において種子収量への寄与率が高い一穂籾数に着目し,「たちあやか」の一穂籾数に対して影響を及ぼす要因の解明のため,これまでに検討が行われている栽培処理の効果を確認するととともに,標高や緯度の異なる様々な地域で栽培された試料の調査や標高が異なる試験地を要因とした直交表試験を行った.その結果,一穂籾数と出穂30~11日前の日最低気温の平均との間に高い負の相関が認められた.また,出穂29~10日前の20日間に異なる水温の水に「たちあやか」を栽培したポットを浸す処理を行った結果,冷水区で温水区より有意に一穂籾数が多くなった.以上のことから,幼穂分化期から幼穂が伸長する時期の温度が「たちあやか」の一穂籾数に影響を及ぼすことが明らかとなり,この時期の温度が低いほど,一穂籾数が多くなるものと考えられた.