日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
研究・技術ノート
後期重点施肥が新潟県で栽培したもち性オオムギの収量,品質に及ぼす影響
島崎 由美関 昌子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 89 巻 3 号 p. 245-251

詳細
抄録

硝子質粒は精麦用オオムギの品質を低下させる重要な要因であるが,止葉抽出から開花期頃の生育後半の窒素追肥により増えやすい.また,もち性オオムギはうるち性オオムギよりも硝子率が高まりにくい.そのため,もち性オオムギでは後期重点施肥や多肥栽培を行っても,硝子率を低く維持しながら増収することが期待できる.そこで本研究では,新潟県においてもち性オオムギ品種「はねうまもち」とその原品種である「ファイバースノウ」を後期重点施肥法により栽培し,その収量と品質に及ぼす影響について検討した.施肥処理区を基肥重点の施肥法である「標準区」,後期重点施肥法として基肥を減らし追肥割合を増やした「追肥重点区」,さらに追肥重点区から追肥量を増やした「追肥増量区」の3水準設けた.追肥重点区は,標準区に比べて穂数,全重,1穂整粒数が多くなった結果,収量が多かった.後期重点施肥では小穂数が決定する越冬前や越冬後の植物体中の窒素濃度が高まった結果,全小穂数が増えたと推察された.また,追肥重点区では止葉抽出期追肥によって下部不稔率が減少した結果,1穂整粒数が多くなった.硝子率は後期重点施肥にすると高く,施肥量が多いと高くなったが,「はねうまもち」が「ファイバースノウ」よりも明らかに低かった.以上の結果から,「はねうまもち」は,後期重点施肥を取り入れた多肥栽培で品質を損なわずに増収することを確認した.

著者関連情報
© 2020 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top