日本作物学会紀事
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作物生理・細胞工学
短日条件下で発生する日本水稲品種「シンレイ」の不稔
岡本 正弘原 貴洋
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2020 年 89 巻 4 号 p. 331-336

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抄録

自然光型人工気象室 (最高気温30℃,最低気温22℃,平均気温26℃) において,九州の水稲品種「シンレイ」に短日処理 (9時間日長) を施したところ,到穂日数が約85日から約60日に短くなるにつれて,不稔歩合は約3%から約28%に高まった.短日条件下では葯が湾曲化・短小化し,葯長 (50%エタノールで固定) は長日条件下 (14時間日長) の約1.7 mmから約1.2 mmに短縮した. 葯当たり充実花粉数は葯の短小化にともなって減少し,葯長が約1.5 mm,葯当たり充実花粉数では約600個を切ると不稔歩合が上昇に転じた.葯長は幼穂分化までの期間の長さに加え,幼穂分化後約3~9日間 (出穂前25~19日頃) の日長条件に大きく影響され,この期間の日長が短日条件になると葯は顕著に短縮し,葯当たり充実花粉数が減少して不稔歩合が増加した.

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