日本作物学会紀事
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エネルギー作物エリアンサスの葉身の機械的強度の形態学的解析
金井 一成森田 茂紀
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2020 年 89 巻 4 号 p. 325-330

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抄録

エネルギー作物のエリアンサス (Saccharum spp.) が高いバイオマス生産性を発揮できる背景として,大型の群落構造を持つことがあると考えられる.すなわち,長大な葉身が比較的直立し,群落内の光環境が良好に維持されることが群落の物質生産に有利に働いているはずである.そこで,エリアンサスの群落構造を解析する一環として,長大な葉身が自重を支えて直立している実態を形態学的な観点から検討した.その結果,葉身が支えている自重,すなわち,葉身重は葉身先端から基部に向かうにしたがって大きく,葉身の挫折時荷重も同様の傾向を示した.そこで,挫折時荷重を利用して葉身の各部位が支持できる最大の重さ (支持重) を推定し,葉身重との大小関係を検討した.その場合,葉身先端からの距離と葉身重および支持重との,それぞれとの間に得られた回帰曲線を利用して解析した結果,実際に存在する葉身長の範囲では支持重>葉身重であり,葉身が自重を支えている事実と整合した.また,葉身の挫折時荷重は,主に中肋に規定されていることが明らかになった.そこで葉軸に沿って中肋の横断面を観察した結果,葉身先端から基部に向かって中肋は大型化し,同時に円形から半円形を経てU 字型に変化していた.このような中肋の大型化と形態変化も,葉身の機械的強度を保つことに貢献していると考えられる.

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