日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
異なる栽培法がテンサイ黒根病の被害に及ぼす影響と抵抗性品種による防除効果
岡崎 和之田口 和憲松平 洋明成廣 翼黒田 洋輔
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2021 年 90 巻 3 号 p. 300-306

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抄録

テンサイ黒根病は排水不良圃場で発生し易いテンサイの重要病害である.本研究では,黒根病の発生が多い生産者圃場において,黒根病抵抗性が異なる品種を直播栽培と移植栽培で試験し,栽培法の違いが黒根病の発病に与える影響および直播栽培における黒根病抵抗性“強”品種の防除効果について解析した.その結果,圃場の過湿により根部肥大が著しく阻害された2018年は関係性を見出せなかったが,根部肥大が認められた2019年は,直播栽培の発病程度は移植栽培と比べて明らかに高かった.また,2018年,2019年ともに直播栽培では根重が著しく減少し,直播栽培は移植栽培よりも黒根病の被害がより深刻であることが明らかとなった.一方,直播栽培における発病程度の品種間差は移植栽培とほぼ一致しており,黒根病抵抗性“強”品種は,抵抗性が“やや強”以下の品種と比べて発病程度が低く,収量も多かった.以上より,直播栽培は移植栽培より収量低下が大きく,黒根病抵抗性“強”品種の利用は,有効な防除対策であることが明らかとなった.

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