日本作物学会紀事
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寒冷地におけるコムギの穂の諸形質の栽培地および品種間比較
池永 幸子島崎 由美関 昌子伊藤 裕之中丸 観子髙山 敏之谷口 義則
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2021 年 90 巻 3 号 p. 307-316

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抄録

寒冷地において栽培されているコムギ3品種「ゆきちから」,「銀河のちから」,「夏黄金」を盛岡市と上越市で供試し,穂の諸形質を調査,比較した.供試した3品種すべてにおいて,盛岡市は上越市と比較して,1穂小穂数が少なかった.1穂小花数および1小穂粒数は盛岡市が上越市より多かった.穂の基部から中央部にかけて1小穂粒数が増加し,上部にかけて減少していくことは盛岡市,上越市ともに共通していたが,穂の基部から中央部の1小穂粒数は盛岡市が上越市より多かった.3品種間では,「銀河のちから」が「ゆきちから」,「夏黄金」と比較して1穂小穂数が少なく,1小穂粒数が多かった.この品種間の違いは,盛岡市と上越市で共通していた.盛岡市と上越市で穂の形態に違いがでる要因として,栽培条件の違いや播種から幼穂形成が完了するまでの日数や有効積算温度が考えられ,いずれも上越市より盛岡市で低かった.

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