日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
研究・技術ノート
那須地域の現地農家水田におけるオオナリ疎植栽培による飼料用米の省力・持続的な多収生産体系の実証
山口 弘道草佳 那子木村 俊之
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 90 巻 3 号 p. 334-342

詳細
抄録

本州における代表的な酪農地帯であり,関東地方の水田地帯のほぼ北限に位置する栃木県北部の那須地域において,2~2.5 kg m–2の牛ふん堆肥を施用し,坪当たり50株程度の疎植栽培と肥効調節型肥料を導入したインド型多収品種オオナリの省力・持続的生産体系において,12 g m–2程度の窒素施肥量で目標を大きく上回る879~920 kg/10 aの高い粗玄米収量を安定的に確保できることを現地農家水田で実証した.オオナリは疎植区において,一穂籾数の増加により慣行区と同等以上のシンク容量が得られた一方で,シンク充填率の低下が少ないことから高い収量が得られたと考えられた.疎植区においてはシンク容量と出穂前に茎部に蓄積された非構造性炭水化物(NSC)の登熟期間の減少量との間に有意な正の相関関係が見られたことから,シンク容量の拡大に応じてNSCが穂に移行することにより,穂への光合成産物の供給が補われることがソース側の要因として示唆された.また,オオナリでは疎植により一穂籾数が増加した場合にも,枝梗別の着生籾数の割合の変化が小さく弱勢頴花の顕著な増加がないことがシンク側の要因と考えられた.さらに飼料としてのオオナリに注目すべき特性である米ぬかのビタミンE,とりわけトコトリエノール含量についても現地において年次や栽植密度に関わらず安定して高い値が得られることも実証された.以上の結果から,那須地域における,オオナリ疎植栽培による飼料用米の省力・持続的多収生産の有効性が示された.

著者関連情報
© 2021 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top