作業競合を回避し作付けの多様化の可能性を探るために,近年育成された多収・良食味米品種「あきだわら」,「やまだわら」,「とよめき」について,異なる移植時期(早植栽培,普通植栽培,晩植栽培)での収量および収量構成要素と関連形質を3年間評価した.3品種とも精玄米重は,移植時期が遅いほど小さかった.また,シンク容量(m2あたり籾数×千粒重)と出穂期から成熟期までの乾物増加量(出穂後乾物増加量)は,移植時期が遅いほど小さい傾向があった.そこで移植時期の違いによる精玄米重の変動と気象条件との関係を検討した.精玄米重(Y)を出穂前30日から出穂後20日までの積算日射量(S)で除した値(Y/S)とこの期間の日平均気温の関係は,約23.4~24.0℃で最大値となる二次式に近似でき,この期間の気温と日射量で精玄米重をよく説明できた.しかし晩植栽培で精玄米重が特に小さいことには,出穂前後の日平均気温ではなく,日平均日射量が少ないことが影響したと考えられた.