日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
イネ系統「CRR-99-95W」のアカスジカスミカメ (Stenotus rubrovittatus) に対する斑点米カメムシ抵抗性およびその検定適期について
杉浦 和彦濱頭 葵井手 康人池田 彰弘
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2022 年 91 巻 2 号 p. 147-152

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抄録

アカスジカスミカメ (Stenotus rubrovittatus) に対するイネ系統「CRR-99-95W」の斑点米カメムシ抵抗性について検討した.「CRR-99-95W」は比較品種である「あいちのかおりSBL」と同様に,登熟の進展に伴いアカスジカスミカメによる斑点米発生率が低下した.特に加害時期が出穂後7,14日では,「CRR-99-95W」は「あいちのかおりSBL」に比べて有意に斑点米発生率が少なく,出穂後7日では不稔粒発生率についても有意に少なかった.以上のことから,「CRR-99-95W」は登熟初中期では斑点米発生率を抑制させ,さらに登熟初期では不稔粒の発生を抑制させることが明らかとなった.従って,アカスジカスミカメに対する斑点米カメムシ抵抗性の検定には,斑点米発生率に有意な差があり,かつ不稔粒の発生が少ない出穂後14日に暴露するのが適していることが見出された.また,アカスジカスミカメの被害に大きな影響を与える割れ籾の発生についても検討した.「CRR-99-95W」は出穂前の低温・寡照条件によって割れ籾が増加したが,その発生数は比較品種の「あいちのかおりSBL」と変わらなかったことから,「CRR-99-95W」のアカスジカスミカメに対する抵抗性は,割れ籾の有無が要因ではないと推察される.

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