新潟県産コシヒカリの一等米比率は,2013~2018年まで75%以上で推移していたが,2019年は過去二番目に低い25.0%となった.2019年の気象は,7月下旬から8月中旬の気温が平年より1.4~4.0℃高く,特に8月14~15日に発生したフェーンの影響で最高気温が40℃を超えるなど,記録的な高温となった.格落ち理由の多くは乳白粒の多発であったが,籾数過剰が主要因ではないと推察された.また,新潟農総研や県内各地域における出穂期の異なるコシヒカリで,玄米横断面の白濁タイプの割合を調べた結果,出穂11~17日後にフェーンに遭遇したサンプルにおいて複合型の白濁の発生が確認された.それらのサンプルでは背側の白濁も増加しており,整粒比率が低かった.新潟県産コシヒカリの出穂最盛期は8月3日であり,大部分の地域で高温感受性の高い登熟前半において,フェーンによる著しい高温に遭遇したことにより品質が低下したことが示唆された.