作物生産に対する地球環境変動の影響と世界的な食糧需給の不安定化が懸念されるなかで,国内では耕作放棄地は増加し,農業従事者の減少と高齢化が進んでいる.農業の情報化・スマート化はこうした食糧生産・環境問題への対応と営農の強靭化にとって有用な方策のひとつである.今後の本格的な情報化・スマート化に向け,リモートセンシング等の計測技術,ロボット化等の省力化技術,機械学習法等のデータ処理・解析技術の高度な活用が期待される.本稿では作物研究におけるデータ計測やデータ処理・解析の質的向上,ならびに生産現場でのデータ・情報の高度利用に資することを目的に,作物と生態系のリモートセンシングに関わる研究事例をふまえつつ,センシングとデータ処理・解析法に関する世界的な研究動向を分析するとともに,ドローンリモートセンシングや機械学習法の利活用と留意点について考察する.