省力的に栽培可能な作物として,北日本を中心に1年1作の単作水田輪作体系に子実トウモロコシの導入事例が増えているが,西南暖地の2年3作あるいは2年4作の多毛作水田輪作体系における知見は少ない.そこで,本研究では,多毛作地帯に本作物を導入することを想定し,春播きと夏播き栽培における収量を評価した.試験1では春播き栽培と夏播き栽培における収量比較を,試験2では春播き栽培において晩生品種ほど多収になるかを,試験3では夏播き栽培において品種の早晩性と栽植密度が収量におよぼす影響を検討した.坪刈りは機械収穫の目安となる子実水分が30%以下になったのを確認後に実施した.3年平均した春播き栽培と夏播き栽培の収量はそれぞれ908と522 g/m2であった (試験1).春播き栽培では供試した相対熟度 (RM) 106,115,125の3品種のうちRM115の品種が2か年とも最多収となり1000 g/m2以上となる年があった (試験2).春播き栽培における収量の変動要因が生殖生長初期の日照不足であること,RM125程度の晩生品種は生育量が旺盛になり倒伏による減収リスクが高いことが示唆された.夏播き栽培では登熟可能な範囲で晩生の品種が多収になり,栽植密度を6.7本/m2から8.3本/m2に増やすことで約25%増収したが,収量は最大で697~772 g/m2であり,春播き栽培の収量水準 (1000 g/m2程度) には至らなかった (試験3).子実トウモロコシは省力栽培が可能かつ春播き栽培で多収となることから,今後さらなる規模拡大が想定される多毛作大規模経営体向けに,本作物の春播き栽培を導入した新たな輪作体系を構築していく必要がある.