日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
2023・2024年の異常高温を含む近年の気候変動がダイズの収量・品質に与えた影響-農研機構育成試験地の生産力検定試験データに基づく解析-
熊谷 悦史菱沼 亜衣山崎 諒髙田 吉丈大木 信彦加藤 信
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2026 年 95 巻 3 号 p. 216-231

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抄録

近年の気候変動により,日本では夏季の異常高温が農作物に深刻な影響を及ぼしている.本研究では,寒冷地から暖地を代表する4育成試験地の2008~2024年の生産力検定試験データを用い,気温・土壌水分の偏差とダイズの発育・収量・品質・障害発生との関係を解析した.特に記録的高温となった2023・2024年を含め,17年間平均を基準とした偏差解析により,近年の気象条件の特異性を把握した上で,回帰分析を行った.播種から開花までの日数は気温偏差と強く関係し,気温1℃上昇で1.7日短縮した.開花から成熟までの日数は土壌乾燥により短縮する傾向が示された.収量は開花成熟期の気温偏差と弱いながら負の関係が見られ,高温条件で減収する傾向が示された.百粒重は気温1℃上昇で1.2 g減少し,子実タンパク含有率も気温1℃上昇で0.5%低下した.さらに,百粒重および子実タンパク含有率は土壌水分偏差とも弱いながら関係し,乾燥条件で低下する傾向が見られた.障害については,青立ちと気温との関係は不明瞭であったが,裂皮粒やしわ粒は開花成熟期の気温偏差と弱いながら正の関係がみられ,高温条件で増加する傾向が示された.これらの結果から,全国的に高温と乾燥が複合的に作用し,とくに2023・2024年には品質障害や減収が顕著化したことが示された.本研究は,偏差解析と回帰分析を統合して全国規模で影響を整理した点に特色があり,寒冷地でも被害が顕在化する可能性を裏付け,気候変動下でのダイズ生産安定化に資する基礎的知見を提供する.

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