日本作物学会紀事
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夏大豆型対秋大豆型の着花結実に関する研究 : 第5報 秋大豆型の花芽分化後の日長の影響と播種適期について
永田 忠男
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1958 年 27 巻 1 号 p. 87-90

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抄録

前報までに, 播種期による収量変化ともつとも関係のある着花の良否, とくに開花期間の長短, 日当開花数の多少には, 栽植密度, 摘心, 移植, 2, 3, 5-T撒布, 施肥等の栽培的処置が著しい影響を及ぼさないことを報告した. 本実験では, 秋大豆型赤莢白大豆を用い, 4~5月の早期に播種し, 開花前17日, 同7日 (1954), 開花前5日, 開花始, 開花後10日 (1955) より9時間の短日に移し, 次の結果を得た. (1) 花芽分化後の短日は開花期間を著しく短縮し, 日当開花数を増加する. (2) その効果は, 開花前7日~開花始に処理を開始したものに顕著であるが, 処理開始の早晩いずれに過ぎるも減少する. この結果と第2報の播種期試験の結果を比較すると, 標準区及び開花後10日よりの処理区は4~5月の早期播種に, 開花前17日よりの処埋区は7月以降の晩期播種に相当し, 開花前10日~開花始処理区は6月の適期播種に近似する. このことは大豆, とくに秋大豆型品種の播種適期を左右する要因として, 従来述べられてきた花芽分化期及び開花期に及ぼす日長の影響よりも, むしろ開花始後の開花期間及び日当開花数に及ぼす日長, すなわち花芽分化期後の日長の影響が重視されなばならぬことを示すものと言えよう. 従つて, 秋大豆型を早期播種した場合, 開花遅延に伴う茎葉過繁茂を抑制するために上記栽培的処置を行うことは, 減収防止上大きな効果を期待することができない. 秋大豆型大豆には適期播種がもつとも肝要であることを確認すべきである.

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