抄録
圃場に栽培中の作物について蒸発散量を測定しようとして, 塩化ビニール製円筒型蒸散室を用いこれに通気を行い, その出入口に於てサーミスター高感度電気温度計で温, 湿度を測定し, 出入口に於ける湿度差より蒸発散量を測定する方法を考案した. 現在, 重量法に比し本法による場合は5~2%低く表出されるので更に改良の余地が認められるが, 重量法と同じような日変化を示し, 圃場に生育中の作物について測定が可能なばかりでなく葉, 穂, 果実等植物の器官別にも蒸散量が測定できる. 本研究は当場栽培第二部今井富蔵部長の構想と援助により, 実施にあたつては農業技術研究所気象科三原義秋科長並に名古屋工業大学山田治夫教授の指導を受けた. 猶, 当場池田利良場長より終始御鞭達を戴き論文の作成にあたつては御懇篤なる御指導と御校閲を戴いた. それぞれ記して感謝の意を表す. また多数の先輩, 同僚より示唆を戴いたことを深謝する次第である