抄録
イネの障害型冷害の発生過程をさらに明らかにするために, 陸羽132号の花粉の発育におよびす3日間の15~19℃処理と, 3日間の暗黒処理(25℃)の影響を見た. 開頴前10~12日, および6~11日に相当する時期に低温に遭遇した頴花に充実花粉歩合の低下が見られ, これらの時期はそれぞれ減数分裂期と花粉外膜形成期に相当するものと考えられた. 暗黒処埋ではこのような充実花粉歩合の低下は見られなかつた. この事実は再び障害型冷害は低温による光合成の低下によるものでなく, 穂に直接作用する低温の影響によるものであることを暗示している. その他, 強風もまた花粉の発育を害することが暗示された.