日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ゲノムデータに基づくオルガネラ移行に関わるN末端シグナル配列の獲得過程の予測
*堀 孝一養老 瑛美子関根 靖彦
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p. 0725

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抄録
オルガネラゲノムDNAにコードされる遺伝子は80~200種類と非常に少ない。オルガネラで働くタンパク質の多くは核ゲノムにコードされており、翻訳後にN末端シグナル配列の働きによりオルガネラへ輸送される。このような核コード遺伝子はオルガネラで機能するためにN末端シグナル配列を獲得したと考えられるが、その獲得過程の全体像はいまだ明らかではない。
前年度本大会で我々は、「核ゲノムに水平伝播した遺伝子には、5’側に延長したコード領域が付加される傾向があり、これによりゲノムに存在していた潜在的なシグナルをコードする配列をN末端に獲得した」という仮説を示した。
本発表では、核ゲノムへの水平伝播によって付加されたN末端領域とオルガネラへのN末端シグナル配列は共通して不規則領域である傾向が高いことが予測された事を報告する。
不規則領域とは特定の立体構造を形成しない領域であるが、特定のタンパク質や基質と相互作用することによって立体構造を形成し機能する例があることが知られている。本研究の解析結果に基づいて、核ゲノムへの水平伝播した遺伝子は不規則領域としての特性をもつ柔軟なペプチド配列をコードする領域を獲得し、その特性を生かしてオルガネラへのN末端シグナル配列に利用したという仮説を提唱する。
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© 2009 日本植物生理学会
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