日本作物学会紀事
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水稲の開花生理に関する研究 : 2. 花成誘導におよぼす核酸代謝阻害物質の影響
菅 洋長田 明夫
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1967 年 36 巻 1 号 p. 37-41

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抄録
感光性品種瑞豊を用いて, 花成におよぼす核酸代謝阻害物質の影響をしらべた. 供試した2-チオウラシル, 8-アザグアニン, 5-ブロモウラシルなどのうちでは2-ムチオウラシルおよび5-ブロモウラシルが強い阻害作用を示し, 他の物質でも処理時期, 濃度によって多少の花成阻害がみられた. 2-チオウラシルの花成阻害は処理後直ちに対応する正常な代謝物であるウラシルを与えるとある程度回復し, また8-アザグアニンによる阻害は同様にグアニンによって回復する. また5-ブロモウラシルによる阻害はウラシルおよびチミン両者により完全に回復した. このようにウラシルおよびチミンの両者で回復するため5-ブロモウラシルの阻害がDNA代謝を阻害するのか, RNA代謝に関連するのかは明らかでない. なお, 2-チオウラジルによる阻害は, 誘導処理開始後2~4日目と, 12日目以後に強く現われる. この時期は, 第一報の結果から推定ずると前者の時期は花成刺激生成期にあたり, 後者は花芽発育初期にあたる. この2-チオウラシルによる阻害は, 2-チオウラシル処埋と同時にオロチン酸を与えるとかなりの回復を示した. これらの結果から水稲では花成刺激生成と花芽発育に核酸代謝が関与しているものと推定される.
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