1970 年 39 巻 4 号 p. 468-473
減数分裂期に冷温処理を行ない,頴花,葯および花粉の発育経過をしらべた. これらの形質の生長速度は処理期間中いちじるしく抑制されたが, 処理終了後は正常なものと同じ速度に回復した。正常なものも処理されたものも減数分裂初期から小胞子の第2収縮期までは, 頴花長によつて花粉の発育時期を推定することができる. 冷温感受性のもつとも高い時期を正確に判定するため, 冷温処理時に1cmごとに葉耳間長の印をつけ, 処理時の花粉の発育時期と稔実歩合との関係を, 葉耳間長別, 穂の最先端5頴花の位置別にしらべた. 冷温感受性のもつともたかい時期は,これまでいわれてきた減数分裂盛期ではなく, 4分子期から第1収縮期までの小胞子初期である.