1970 年 39 巻 4 号 p. 474-479
冷温にたいしてもつとも感受性のたかい小胞子初期ころのタペート細胞を電子顕微鏡により観察した. タペー卜細胞は細胞質が充実しており,おおきな液胞をもたない. 粗面小胞体が減数分裂のおわりごろから発達しはじめ, 小胞子初期にほおおきなかたまりになる. タペート細胞間の細胞壁は非常にうすく, ほとんど細胞膜のみからなつている. 莉腔側の細胞壁ほカロースで‘できており,のちにカロースがとけて細胞膜が露出する. 新生小胞子期にこのカロース壁の下に球状体が生じ, カロース壁がとけさると球状体も露出する. そのご電子密度のたかい突起が, この球状体の表面に生長していく. 以上のような形態的特長は, タペート細胞の分泌的性質およびまもなくこわれていく運命とよく符合している.