抄録
イネの減数分裂期に冷温処理をおこない, 葯の発育にともなう遊離アミノ酸の変化をしらべた. この処理により, 発育にともなう総アミノ酸の増加が抑制され, 出穂期には約40%の減少となつた. この減少は葯の乾物重, 花粉稔性および稔実歩合の減少とほぼ見あつていた. アミノ酸ではプロリンの減少が大きく, 出穂期には約80%以上の減少をみた. それに反してアスパラギンほ約50%以上の増加をみた. その他のアミノ酸は総アミノ酸の減少程度とほぼ平行して減少し, 処理による有意な変化はみられなかつた. このようにアミノ酸に差がみとめられるのは出穂前7日頃(小胞子の第2収縮および回復期)からであつた.