抄録
萠芽前の甘藷塊根の柔組織のメタノール抽出液より得られた強酸, 弱酸, 中性, 塩基性の各区分をペーパークロマトで分画し, イネ幼苗の生育テストによるバイオアッセイを試みると, 強酸および中性区分に著しい生長阻害活性が認められた. これらの物質をカラム, 薄層などのクロマトグラフィーで精製し, ガスクロマトグラフィー, 赤外線吸収スペクトル, 核磁気共鳴吸収などで分析したところ, 強酸区分にはアブサイシン酸が同定された. また中性区分では芳香族と脂肪族炭化水素のケトンよりなる中性阻害物質が検出された. また水層区分には, 酸加水分解によつて酸性, 中性の各区分に生長阻害物質が抽出されることから, 結合型阻害物質の存在が示唆された.