1973 年 42 巻 3 号 p. 377-386
大豆の同化速度の品種間差異をもたらす機作を解明するため, クロロプラストの2・3の形質を調べ, 品種同化速度との相関々係を検討した. 供試品種の同化速度品種間順位は, Harosoy>ワセコガネ>しなのめじろ>シロメユタカ>農林1号であつた. 単位葉面積中に存在するクロロプラストの総容積には品種間差が認められなかつたが, 同化速度の大きい品種は概して小型のクロロプラストを数多く持つ傾向があることが認められた. クロロフィル濃度と同化速度との関係は, クロロフィル濃度の低い段階では正の相関が認められたが, 高い段階では認められなかつた. 単位葉面積中に存在するクロロプラストのHill活性と同化速度との間にはきわめて密接な正の相関が認められた. これらの結果は, クロロプラストには形態学的形質と光化学活性に品種間差異があり, 同化速度の品種間差異をもたらす要因はクロロプラストの側にも存在することを示唆した.