日本作物学会紀事
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酵素処理によるイネの葉およびカルスからの原形質体の分離
前田 英三萩原 俊昭
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1974 年 43 巻 1 号 p. 68-76

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抄録
イネ幼苗の葉と根および無菌培養カルスから, 原形質体を分離する方法を検討した. こまかく切つた試料をmacerozyme・cellulase・mannitolなどの混液に35℃条件で2時間処理し, 葉・根およびカルス起源の原形質体の作成に成功した. 各原形質体の分離に必要な条件をしらべ, 形成された原形質体の大きさの頻度分布を求めた. 分離し遠心処理により集められた原形質体を, グルタルアルデヒドとオスミック酸で固定し, エポン樹脂に包埋し準超薄切片を作成した. トルイジンブルー・フクシンメチレンブルー・PAS トルイジンブルーなどで染色し, 光学顕微鏡で細胞内顆粒体を観察した. 葉起源原形質体の作成には, 適当な令の幼苗を使用する必要があり, カルス起源の原形質体の作成には, 移植後日数とカルスの部位を選ぶことが必要であることを明らかにした. 葉の維管束鞘および表皮細胞の細胞壁は, 酵素処理により分解されにくく, 葉緑体をもつた原形質体の多くは, 葉肉細胞から生じたものと考えられる. 葉起源およびカルス起源の原形質体のなかに, 多くの多核性のものを見ることができた. カルスの場合すでに多核細胞の存在することが知られているが, イネの葉には多核細胞が認められていないので, 葉起源の原形質体は, 短時間の酵素処理中に自然融合することによつて, 多核化したものと考えられる. またカーネーションやフリージャの花弁細胞からも, 原形質体を作成し得ることを示した.
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