日本作物学会紀事
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43 巻, 1 号
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  • 中嶋 博, 細川 定治
    1974 年 43 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    細胞質雄性不稔現象についての, 植物生理学的な機作を明らかにする一助として, トウモロコシの細胞質性不稔系統 W23T, W375BT とその維持系統W23, W375Bを用いて, 両稔性個体間の, 光合成産物の配分について, 14Cトレーサー法で研究した. 1. 光合成産物の葯へのとりこみ量, および配分成分形態については, 稔性個体間では大きな差が認められた. しかしながら, 系統間では明らかな差異は認められなかつた. 2. 供試された小胞子期では, 不稔性個体の花器への光合成産物の転流が著しく阻害されていた. 3. 不稔性葯では稔性葯に比較して, 有機酸画分(陰性画分)で, やや低い分配率を示したが, 糖類画分(中性画分), およびアミノ酸画分(陽性画分)では, 高い分配率を示した. 4. 14C アミノ酸, および 14C アミノ酸残基については, 両稔性間に著しい差異がみられ, 不稔性葯では, それらは著しく少なかつた. 稔性葯でのみ, マルトースと思われる糖類が検出された. 5. 花器以外の器官では, 両稔性間で一定の傾向は認められなかつた. しかし炭水化物については両稔性間で著しい差異が認められた. 6. 稔性葯では, 脂質画分に 14C がかなりとりこまれていたが, 不稔性葯では, まつたくとりこまれていなかつた. これらのことより, トウモロコシの四分子期より, 小胞子期にかけて, 不稔性葯への光合成産物の転流は著しく少なく, また葯の呼吸活性の低下と関連し, 1次代謝産物から2次代謝産物への合成が著しく阻害されているものと推定された. 本研究の遂行にあたり, 弘前大学福重裕康助教授に御指導を賜つた. ここに深謝の意を表する.
  • 花田 毅一, 孫 錫龍
    1974 年 43 巻 1 号 p. 8-23
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1. 大豆品種シロタエ6個体をガラス室内で生育させ, 第1葉から第13葉まで全葉の生長を追跡的に測定した. 2. 中央小葉葉身長, 複葉全長(葉柄を含む)の対数をとる時, 対数値で最終葉長のほぼ92%までは日数に対して直線的に生長した. 3. 小葉葉身長, 複葉全長とも発芽後日数に対する葉長の対数の回帰係数が第1葉から第7葉までは漸増し, 第8葉以降次第に低下し, かつ葉位間に有意な差があつた. 第3葉~第7葉では生長速度(回帰係数)と気温との間に強い正の相関がみられたが, 第8葉以降では有意な相関がみられなかつた. 4. 基準長を小葉では30 mm, 複葉では45 mm と仮に設定して, a) P.I.=n+1以前での第n葉の回帰直線の屈折, b)相続く2葉間の回帰係数の差および c)両者相伴つて起る場合のP.I.の誤差を計算した. 葉間期内での誤差は極大値でも a)では小葉0.07, 複葉0.03, b), c)ともに小葉0.09, 複葉0.14程度であり, しかもこの程度の誤差の起る可能性は甚だ低いと考えられる. 全体として本実験でみられた程度の葉(全長, 生長速度, 葉間期など)ではこれらの原因による誤差は余り大きくないと考えられる. 5. この基準長で計算した. P.I.の推移は, 小葉, 複葉ともかなり直線に近く, かつ各測定日の計算されたP.I.の誤差を計算し, 補正したが, 補正値は甚だ小さかつた. 6. 葉長の測定対象としては, 小葉の方が複葉よりもP.I.の誤差が小さく, かつ測定もし易いことから, 中央小葉の葉身長を測定するのがよい. 7. 中央小葉葉身長から計算したP.I.によつて葉令を示すためには, 基準長を一定に定めなければならない. このため, 基準長 10 mmの場合と20 mmの場合について考えられる各種の誤差を比較検討した結果, 総合して10 mmがよいと考えられる. しかし, 10 mmの場合には, 基準長より短くこれに最も近い葉は常に10 mm以下で時に2 mm位のこともあること, 測定誤差による誤差が大きいから測定誤差を0.5mm程度以下に抑えるよう精密な測定が要求されることに注意しなければならない. 8. 葉長の測定誤差による誤差は, 第n葉, 第(n+1)葉ともに, 基準長に近い大きさのときに最も大きいので, その頃は特に精密な測定が必要である. 本実験の遂行にあたり農林省農事試験場から大豆品種の種子を分譲して頂いた. また本稿を草するに当つて長野県農業試験場桔梗ケ原分場御子柴公人氏より本文に示した大豆7品種の全葉の小葉葉身長についての貴重な未発表の調査資料をご提供頂いた. 本稿を草するに当り西川五郎教授のご校閲を賜つた. 記して厚く謝意を表する.
  • 武市 義雄, 山岸 淳
    1974 年 43 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲稚苗箱育苗にヒドロキシイソキサゾール剤を利用し, ムレ苗の発生防止効果および水稲苗におよぼす影響について検討し, 次の結果を得た. 1. ヒドロキシイソキサゾール剤の処理はムレ苗の発生を防止する効果がきわめて高く, 処理時期は播種前処理が効果的である. 2. 処理方法としては, 粉剤, 粒剤は土壌混和処理, 液剤では土壌灌注処理が効果が安定しており, 薬量としては1箱当たり成分0.1~0.3gが適量であろう. 3. 出芽初期の生育は処理によつて抑制されるが, その後回復し, 播種20日後では乾物重が増加した. 4. 処理により発根力が高まるとともに, 根毛の発生が著しく促進された. また, 溢液量が多くなり, 耐旱性も増大した. 5. 本田移植後の活着が早まり, その結果初期生育が旺盛となつた. 以上のうによ水稲に対するヒドロキシイソキサゾール処理は, ムレ苗を防止すると同時に苗質の向上をもたらすなど, 生育調節剤としての利用の可能性が示唆された. 本試験遂行に際して, 農業技術研究所生理第五研究室長太田保夫博士の有益な助言と激励を受けたことを特記して, 深謝の意を表す.
  • 佐竹 徹夫
    1974 年 43 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    3種類の固定液で頴花を固定し, パラフィン切片によつて4分子期以降の花粉の発育経過を観察した. これまでは小胞子の収縮像を基準にして, 小胞子期は4時期(第1収縮期, 第1回復期, 第2収縮期, 第2回復期)に区分されてきたが, 収縮程度は固定液によつて著しく異なつた. 醋酸・アルコール混液(AA)およびフォルマリン・醋酸・アルコール混液(FAA)による固定では, 小胞子に特微ある収縮像が認められたが, グルタールアルデヒド溶液(GA)固定の試料では, 収縮はほとんど観られなかつた. 小胞子の収縮像は固定のアーティファクトである可能性が強く, 発育時期を区分する基準として適当ではない. 本報では収縮をおこさなかつたグルタールアルデヒドによる固定像によつて発育時期を区分し, 従来の名称を改めた. 今後はこれに従い, 小胞子期を液胞(vacuole)と外膜(exine)の発達程度によつて3時期(小胞子前期, 中期, 後期)に, 花粉期を貯蔵物質の充実度によつて2時期(液胞花粉期, 充実花粉期)に区分する.
  • 佐竹 徹夫, 早瀬 広司
    1974 年 43 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    冷温感受性のもつとも高い時期が小胞子初期であることを実証した(第5報)とき, 減数分裂プロフェースの初めごろに第2の冷温感受性期の存在することが示唆された. これを確認するため, 葉耳間長-21cm~-6cmの範囲の主稈を1cmごとに印をして冷温処理し, 処理中の花粉の発育時期と稔実歩合との関係を葉耳間長別, 穂の先端4頴花の位置別にしらべた. 小胞子初期よりは弱いが明らかに冷温感受性の第2の時期がレプトテン直前~レプトテン初期に認められた.
  • 橋本 鋼二, 山本 正
    1974 年 43 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1) 無燐酸および熔燐または過石を施肥量を変えて施用した火山灰土壌に大豆を栽培し, 低温障害の危険期に15ないし30日間の低温処理を行い, 生育・収量におよぼす低温ならびに燐酸施肥の影響を検討した. 2) 低温処理区および対照区の粒重は, 燐酸施用量の多い方が大きい. しかし, 対照区と比較して減収の程度の最も大きいのは, 6g施用区の場合で, 無燐酸および18g施用区の場合の減収程度は少なかつた. 過石と熔燐との収量の差は認められなかつた. 3) 6g施用区の減収の要因を収量構成要素に分けて解析すると, 分枝の花の結莢率の低下と莢数の減少が大きいことが明らかになつた. 4) 過石区個体は同一水準の熔燐区個体より初期生育が良く, 花数が多かつたが, 100粒重では逆に有意に低く, 肥効の遅速が影響したものと推定した. 5) 低温処理を始めて15日目の個体の茎葉中のP含有率を対照区個体と比較すると, 無燐酸区は低下, 6g施用区はほぼ同一水準, 18g施用区は対照区個体より高く, 施肥水準によつて異つた. 6) 18g施用区個体は, 低温処理中の生育が無燐酸区個体あるいは6g施用区個体より優れ, 処理後の回復も順調であつた. 一方, 6g施用区個体は, 生育後期まで燐酸吸収を必要とする状態なのに, 低温処理による吸収低下と, その後の回復が不十分であつたことが, 減収の大きな原因と考えられる. 7) 収穫時の茎重の粒重に対する, あるいは分枝節数の分枝枝数に対する回帰を求めると, 低温および対照区の間で差がなく, 低温処理を受けても植物体の生育が良い場合には対照区個体に準じる収量をあげ得ることが明らかで, 燐酸多肥は少なくとも火山灰土壌における大豆の生育不良型冷害の軽減には有効に慟くものと考えられる. 本稿をまとめるにあたり種々助言して下さつた作物第一部長升尾洋一郎氏に感謝します。
  • 葭田 隆治, 折谷 隆志
    1974 年 43 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    圃場条件下で栽培された水稲を用いて, 溢泌液のサイトカイニン含量におよぼすNH4-N および NO3-N 追肥の効果について調査した. 減数分裂期のN追肥は溢泌液ならびに葉身のサイトカイニン含量を著しく増加させる. 溢泌液の全サイトカイニン含量(ゼアチン+ゼアチンリボシド+結合型ゼアチン)はNH4-Nに比べて NO3-Nが追肥されたときに著しく増加している. これらサイトカイニンのうちで, ゼアチンは溢泌液の全サイトカイニン含量の約70%以上を占めており, N追肥にもつとも敏感に反応している. いつぽう, 葉身のサイトカイニン含量は溢泌液のそれとよく対応しており, N追肥は上位葉よりも下位葉の切断葉の葉緑素分解を明らかに阻止している. 水稲の分離根より外液ヘ分泌されたサイトカイニンの種類と量的組成は溢泌液のそれとよく一致している. 以上の結果から, サイトカイニンは根で生成され地上部ヘ移行されると結論されよう. またN肥料はサイトカイニンの生成を調整する重要な要因である可能性が示唆される.
  • 橋本 鋼二, 山本 正
    1974 年 43 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    大豆の収量構成形質におよぼす低温の直接, 間接的影響が窒素と燐供給濃度によつてどのように変わるかを明らかにするため水耕法を用いて2つの実験を行なつた. 実験Iは直接的影響を検討するため冷害危険期の花を, 一節当り2ないし3個に開花数を制限して供試した. 窒素の供給水準を高めると燐供給水準のいかんにかかわらず, 低温処理による結莢率ならびに稔実歩合の被害が大きくなつた. 被害の程度は, 低温下における花の発育時期と密接な関係が認められた. 低温処理による直接的な障害の程度は, 燐供給濃度によつて差がなく, また燐と窒素供給濃度ならびに燐供給濃度と温度条件といつた交互作用も有意でなかつた. 実験IIは, 対照区および低温処理区のいずれも開花初期7日間の花を摘花し, その後に開花した花の子実生産が, 摘花時までの2ないし3週間にわたる窒素ならびに燐供給濃度によつて影響を受けるかどうかを検討した. 窒素および燐のいずれも供給濃度の高い場合に花数の増加や結莢率, 稔実歩合の向上で, 個体当りの稔実粒数が増加した. このように供給濃度を高めると障害を受けた後の補償能力は大きくなり被害を軽減する可能性が高まることが認められた.
  • 佐藤 庚
    1974 年 43 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    日長(8, 12および16時間)と温度(15~30℃の昼温)を組合わせた環境下に栽培したアルファルフアの地上部の中, 光合成に関係の深い器官, 組織の発達とその解剖的特長をしらべると共に, 生長解析を行なつて乾物生産を考察した. 1) 短日, 低温は長日, 高温にくらべて葉/茎比を高め光合成組織により多く乾物を配分した. 葉の窒素含有率も短日, 低温で高い. しかし葉の展開速度は低温ほど小さかつた(table 1). 2) 日長のいかんを問わず, 小葉の大きさは20~25°で最大, 30°, 15°では小形となり, 特に短日15°で著しく小さかつた. 一般に葉の大きさは日長が長いほど大きかつた. 葉柄長は、25°で最長, 15°で最短であつた(fig. 3). 3) 葉の厚さは低温ほど大きく, 短日の方が長日より厚い傾向があつた. 葉脈間距離は低温ほど大きい傾向があつた. 表皮細胞の面積は20°で最大, これより高温で小さく, 15°でも小さかつた. 面積当り気孔数は細胞の大きさと逆関係にあり, 20°で最少30°で最も多かつた (table 2). 単位葉面積当りの棚状細胞数は高温ほど多く, その直径は高温ほど小であつた(table 3). 大形の葉ほど細胞間隙を増加する傾向があり, 15°は最も小さかつた. 4) 茎の太さは長日で大きく, 温度は20°で最大となつた. その葉緑組織の厚さは低温ほど大きい傾向があつた. 内皮の澱粉蓄積は20~25°で多く, また長日で多かつた. 茎の窒素含有率も短日, 低温で高かつた(table 4). 5) 日長を変えず, 温度処理も短期間であつたために生育ステージに大差のない1970年度の実験では, 1葉の大きさ, 株の全葉面積, 全乾物重は20°>25°>15°>30°の順となつた. SLWは低温ほど高い傾向を示した(table 5). 6) RGRは, 生育ステージに大差のない場合には RLGR, NAR両者と強い相関を示したが, 日長が異なり生育ステージに大差が生ずる場合には, RGRはRLGR との相関が強く, NAR との相関は弱まつた(fig. 7, fig. 8). 7) 本実験の範囲内では, 長日で平均気温が20°前後の温度は, 内容的に窒素含有率が比較的高く, 形態的には単葉の大きさ, 柵状細胞の大きさ, 細胞間隙の大きい大形の葉を速やかに展開することにより乾物生産を最大にした. 終りに本実験の管理, 調査にあたり援助をいただいた伊藤睦泰氏(現新潟大学) と本学技官大友健二氏に深謝いたします.
  • 前田 英三, 萩原 俊昭
    1974 年 43 巻 1 号 p. 68-76
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネ幼苗の葉と根および無菌培養カルスから, 原形質体を分離する方法を検討した. こまかく切つた試料をmacerozyme・cellulase・mannitolなどの混液に35℃条件で2時間処理し, 葉・根およびカルス起源の原形質体の作成に成功した. 各原形質体の分離に必要な条件をしらべ, 形成された原形質体の大きさの頻度分布を求めた. 分離し遠心処理により集められた原形質体を, グルタルアルデヒドとオスミック酸で固定し, エポン樹脂に包埋し準超薄切片を作成した. トルイジンブルー・フクシンメチレンブルー・PAS トルイジンブルーなどで染色し, 光学顕微鏡で細胞内顆粒体を観察した. 葉起源原形質体の作成には, 適当な令の幼苗を使用する必要があり, カルス起源の原形質体の作成には, 移植後日数とカルスの部位を選ぶことが必要であることを明らかにした. 葉の維管束鞘および表皮細胞の細胞壁は, 酵素処理により分解されにくく, 葉緑体をもつた原形質体の多くは, 葉肉細胞から生じたものと考えられる. 葉起源およびカルス起源の原形質体のなかに, 多くの多核性のものを見ることができた. カルスの場合すでに多核細胞の存在することが知られているが, イネの葉には多核細胞が認められていないので, 葉起源の原形質体は, 短時間の酵素処理中に自然融合することによつて, 多核化したものと考えられる. またカーネーションやフリージャの花弁細胞からも, 原形質体を作成し得ることを示した.
  • 石原 邦, 石田 康幸, 小倉 忠治
    1974 年 43 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    In a previous report4) it was made clear that the stomata of leaf blade of rice plants closed to a considerable extent on fine days even when they grew in submerged paddy field. For this time an investigation was undertaken to clarify the diurnal variation of leaf water content on an areal basis in some developmental stages of rice plants under various weather conditions. Maximal water content was obtained for 12th and 13th leaf, fully expanded just at the panicle formation stage. The water content decreased more and more for both upper and lower leaves as away from the relevant leaves. The water content of each successive leaf followed the diurnal variation pattern of taking the maximal value in eariy morning and decreasing towards noon. But the range of variation was wider at the tillering stage, becoming narrower after the booting stage. As for the effect of weather condition, the midday decrease of water content was rather remarkable on fine days accompanied with intense transpiration, but the difference of diurnal variation between fine and cloudy days was small as was expected. From this result it was suggested that the water content of rice plants grown in submerged condition did not debrease below a certain limit, owing perhaps to the increase of water absorption in accordance with intensive transpiration or stomatal closure due to the decrease of water content. In the afternoon of fine days, stomatal aperture became much smaller than on cloudy days. So it was considered that the slight variation of water content gave much influence upon stomatal aperture when water content of leaf blade decreased to a certain limit and that this influcnce became more prominent after the booting stage with narrower range of the variation of water content. Lastly the areal weight or the dry weight per leaf area was much larger in fine days compared with cloudy days, suggesting the effect of dry weight increase upon the decrease of customary leaf water content on a dry weight or fresh weight basis.
  • 菅 洋
    1974 年 43 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    赤色光に下における, イネ子葉鞘および第1葉鞘の生長に対してエチレンとジベレリン(GA)は著しい相乗効果を示すことが見出された. エチレン単独では子葉鞘の伸長に対して著しい効果を示すが第1葉鞘の伸長促進効果は小さい. 一方, GAは内生エチレンを除去した気中では, 子葉鞘伸長に対する効果は小さいが, 第1葉鞘伸長に対しては著しい促進効果を示す. このようにエチレンとGAはイネ芽ばえの伸長に対して作用する時期がずれており, メソコチル(Suge, 1971)や子葉鞘のように発芽初期に発生する器官は, エチレンによりよく反応し, 第1葉鞘や第2葉鞘のようにそれよりおくれて発生してくる器官はGAによりよく反応する. しかし, エチレンとGAを同時に与えると, この両方の器官の伸長に対して著しい相乗効果をあらわした. エチレンはGA3やGA7のように活性の高いGAだけでなく, イネ葉条やエンドウ芽ばえから抽出されたGA様物質でバイオアッセイの結果からジバン環のC-2位に水酸基をもたないと推定されるGA様物質とも相乗的に作用した. これらのことから考えると, イネ芽ばえの初期伸長に内生GAと内生エチレンは相互作用を通じて重要な調節作用をもつているものと推定される.
  • 花田 毅一
    1974 年 43 巻 1 号 p. 88-98
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    穂数型水稲品種金南風および秋晴, 穂重型品種黄金錦および農林22号を屋外自然条件下で, また金南風および黄金錦を人工気象室内で気温および照度を変えた条件下で栽培し, 分げつの生長および出現を調べた. 1) 分げつ数の比較は主茎の葉令を基準として行なつた. 両型品種とも低温強光(20℃, 47,000lux)下および屋外自然条件下で分げつ数が多く, 高温弱光(30℃, 15,000lux)下で最も少なかつた. 分げつの次位別にみると, 環境条件の良い場合は1次分げつの数の品種間差異は少なく, 総分げつ数の差はほとんど2次, 3次分げつの差に基づくが, 不良条件下では1次分げつにも品種間差異が顕著であつた. この結果から, 環境がはなはだ良い場合は, 穂数型, 穂重型ともに分げつがよく発育して差が現われ難く, 不良となるにつれて, 分げつ数が減少するとともに差が現われ, また1次分げつよりも2次, 3次の高次分げつに差が現われ易いと考え, 模式図による説明を加えた. 2) 1次および2次分げつの葉令 "y" のそれぞれの母茎の葉令 "x" に対する回帰は完全に直線になり, その回帰係数は多くが1と1.1の間にあつた. 回帰係数ならびに分げつの葉令が1.0になる時期(ほぼその分げつの出現期に等しい)の母茎の葉令にも多くの場合品種間差異がみられなかつた. 3) 母茎の各節からの1次分げつあるいは2次分げつの出現率について, 低節位および高節位分げつに顕著な品種間差異ならびに環境条件による差異がみられた. 中間節位の分げつでは穂重型の黄金錦でも, また不良環境下でも100%近い出現率を示した. 4) 上記の結果から, 分げつ数の品種間差異はもつぱら低節位および高節位からの分げつの出現率の差によつて起る, 換言すればこれらの節位に分化した分げつ芽が発育するか否かにかかつているとみられる. 本実験を行なうに当り, 種子の分譲を頂いた農林省農事試験場, 広島, 愛知両県農業試験場(当時)に謝意を表する. また, 西川五郎教授から有益なご助言を頂き, 伊藤雅敏, 岸仁一両氏ほか諸氏の熱心な助力を頂いた. ここに記して謝意を表する.
  • 佐藤 光政
    1974 年 43 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ポット植えの桑幼木の単葉または全茎葉にビニール製の袋をかぶせ, この袋内に14CO2を循環させる装置を作製し, 照度35,000ルックス以上, 温度25~35℃の条件下で14CO2をとりこませ, 標識された光合成産物の桑樹体内における転流・分配について調査をおこなつた. 得られた結果の大要は次のとおりである. 1. 単葉からとりこませた場合, 14C-光合成産物の大部分は3~4日以内に同化葉から転流したが, 14C-光合成産物の20~30%は同化葉に残留した. 14C-光合成産物は条, 株, 根などの器官へは転流したが, 成熟葉への転流はほとんどみられなかつた. 2. 葉令の若し、上位葉からとりこませた場合には先端部のごく若い茎葉への分配率が比較的高く, 葉令のすすんだ下位葉からは株や根への分配率が高かつた. 3. 茎葉全体からとりこませ, 同化直後における各葉位の葉の比放射能をみると, 葉令の若い上位葉では低く, 中位葉で高く, さらに葉令のすすんだ下位葉でふたたび低くなる傾向があり, この傾向は赤外線ガス分析計などで測定した光合成能力の葉位別の変化の傾向とよく一致していた. また植付け後の日数の短い桑ほど14C-光合成産物を同化葉に保持し, 植付け後の日数の増加にともなつて株や根への分配率が高くなる傾向が示された.
  • 田代 亨, 江幡 守衛
    1974 年 43 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    These studies in series wrere devoted to clarify the characteristics of white-belly kernel (those grains with opaque part at their ventral position of the endosperm) and to obtain the data on the development of the opaque part in rice grains. This paper described the relation between the appearance of white-belly kernel and the panicle character, the location on the panicle, the kernel weight and the kernel shape. The experimental materials used were Norin-8, Kinmaze and Koshihikari of Japonica type of variety and Koshen of Indica type of variety. 1. The occurrence of white-belly kernels was dependent on the number of the primary and the second-ary branches. White-belly kernels were increased with decreasing number of the primary and the secondary branches. The number of white-belly kernels in the upper branches were larger than those kernels in the lower branches. In the primary branches, many white-belly kernels were observed at the vigorous position except the head position, and in the secondary branches, many white-belly kernels appeared at the head position. On the other hand, Koshen, Indica type, showed the different pattern on the occurrence of white-belly kernels from Japonica type, i.e., the head position of the primary brdnches had also the white-belly kernels. 2. Negative corelations between numbers of white-belly kernels and numbers of ill-ripening kernels were observed. Positive corelations were observed between numbers of white-belly kernels and dry weight of kernels. 3. White-belly kernels in the upper position of the ramified primary branches had larger breadth and weight of grains than perfect kernels. But in lower ramified branches, the thickness and weight of white-belly kernels were less than those of perfect kernels. The white-belly kernels in the non-ramified lower branches had characteristics similar to those kernels in the upper branches. But, white-belly kernels at any position had higher ratio of width to thickness than perfect kernels. This means that white-belly kernels were flatter than perfect kernels. 4. Grains in the vigorous position showed the high increasing rate of dry weight growth at the early stage and the maximum rate was observed at the middle stage. On the other hand, weight of grains in the weak position was slowly increased with the development of the grain to the latter stage. Grains in the upper branches had the characteristics similar to ones in the vigorous position, and grains in the lower branches showed the resemblance with ones in the weak position. From these observations, the appearance of white-belly kernels might be caused by the unbaranced developing rate at the latter period during ripening as compared with the development at the early stage.
  • 佐藤 庚, 江原 淑夫
    1974 年 43 巻 1 号 p. 111-122
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Plastids of various organs and tissues were observed by electron microscope comparing with the observations under light microscope. Leaf mesophyll cells contained chloroplasts with well developed grana and stroma lamellae, containing progressively larger "assimilation starch" inner the mesophyll and nearer the vascular bundle they situated. Plastids in the parenchyma of both vascular bundle (parenchymatous vascular bundle sheath) and midrib were rather amyloplasts with far less lamella structure. The amounts of chlorenchyma of leaf-sheath and stem decreased and those of parenchyma increased basipetally, the former tissues containing chloroplasts almost similar to those of leaf-blade and the latter amyloplasts with a trace of lamella structure. The amyloplasts at their basal parts contained larger compound starth grains which are called "transitory starch". The initials of shoot apex contained no amyloplast. The corpus cells two to three layers beneath the initials and the cells of slightly elongated leaf primordia began to contain small amyloplasts with small compound starch grains, becoming larger as the cells enlarged. These starches are to be consumed by the cells which contain them for the successive rapid cell expansion, which have been called "waiting starch" by Sato. The initials of root apek and periblem cells contained small plastids with starch grains and a trace of lamella structure. Very young meta-vessel cells near the root apex had larger amyloplasts than the other plerome cells. These starches also disappear during the rapid expansion of the cells. Tiny and larger amyloplasts were found in the calyptrogen and mature root cap, respectively, the latter forming the "statolith." Mature pollens prior to anthesis contained many specific starch grains, cach of them being composed of one oval single grain in contrast to the other compound starch grains commonly found in the tissues. The mesocarp of ovary seven days after fertilization contained many large amyloplasts except the inner two layers which had plastids with abundant lamella structure, thw outer layer containing large compound starch drains and the inner very small grains. The amyloplasts of endosperm contained compound starch with a greater number of single grains than those of other tissues. These starch should be called "reserve starch", which enlarge with maturation especially rabidly at the central part of the endosperm.
  • 林 把翠
    1974 年 43 巻 1 号 p. 123-124
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
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  • 佐藤 庚
    1974 年 43 巻 1 号 p. 125-126
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
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  • 高橋 清, 佐藤 庚, 輪田 潔
    1974 年 43 巻 1 号 p. 127-128
    発行日: 1974/03/30
    公開日: 2008/02/14
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