日本作物学会紀事
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3-ヒドロキシ-5-メチルイソキサゾールの作物の生育調節作用に関する研究 : 第3報 イネ苗の冠水被害および除草剤の薬害軽減効果について
小川 正巳太田 保夫
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1974 年 43 巻 4 号 p. 531-537

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抄録
3-ヒドロキシ-5-メチルイソキサゾール(以下ヒドロキシイソキサゾールと略す)の作物に対する生育調節作用に関する研究の一つとして, イネ苗の冠水被害および除草剤の薬害に及ぼす影響を調ベ次の結果を得た. (1) イネの播種時にヒドロキシイソキサゾール処理を行うと, 移植後の深水および冠水被害が著しく軽減された. この被害軽減の程度は苗の地上部よりも根部において顕著であつた. また一般に, 冠水処理中にイネ苗の草丈の異常伸長が起るが, ヒドロキシイソキサゾール処理苗ではとくに冠水明区において, この異常伸長が促進された. (2) イネの播種時にヒドロキシイソキサゾール処理を行い, 移植直後に7種の除草剤をそれぞれ施用量を変えて処理した. その結果ビドロキシイソキサゾール処理苗は, DCPA, MCC・MCP, NIP, CNP およびシメトリンについて顕著な薬害軽減効果を示した. しかし, ベンチオカーブ・シメトリンおよびベンチオカーブ・CNPについては薬害軽減効果を示さなかつた. 以上のような, ヒドロキシイソキサゾールによるイネ苗の冠・深水被害および除草剤の薬害の軽減効果は主としてヒドロキシイソキサゾールによる苗の素質の向上に起因するものと推察された. 本研究を行うにあたりご指導をいただき, また本稿をとりまとめるにあたつて懇切な校閲をいただいた農業技術研究所生理遺伝部生理第1科生理第6研究室長松中昭一博士に対して深く謝意を表します.
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