日本作物学会紀事
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作物における純同化量より乾物量への換算率 : 第1報 大豆
渡辺 巌
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1975 年 44 巻 1 号 p. 68-73

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抄録

大豆農林2号の生育に伴う個体乾物重および個体炭素重の増加量を測り,純同化量より乾物重への換算率を検討して以下の結果を得た. 1. 換算率は個体の生育ステージと対象とする期間の長短により変化した. 粒肥大初期までは0.62~0.63でほぼ一定であつたが,それ以後は生育が進むほど, また対象期間が短いほど換算率は低下し, O.40という低率を示す場合も認められた. 2. 子実は炭量含有率の最も高い器官であつたが, 登熟期後半においては, 子実の炭素含有率から算出される換算率0.53よりはるかに低い値を示す場合がしばしば認められた. これは炭素含有率の比較的低い貯蔵物質が炭素含有率の比較的高い子実成分に変換するときにおこる乾物重の減少に因るものと思われた. 3. 登熟期における換算率(Y)は, 子実への乾物の分配率(X)が増加するほど低下し, 両者の関係は下記の抛物線の一部(0≦x<3)により近似された. ただし(1)式は平均的な子実成分を示す品種, (2)式は高蛋白品種, (3)式は高脂肪品種の場合である. Y=0.021X2-0.141X+0.625…(1) Y=0.021X2-0.149X+0.625…(2) Y=0.021X2-0.153X+0.625…(3) 4. 対象とする実験材料の子実成分の組成により上記の実験式を選択し, 対象とする実験期間における乾物重の子実への分配率を推定してXに代入し、おおよその換算率を推定することが可能であると思われた

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