日本作物学会紀事
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桑の光合成および光合成産物の転流・消費に関する研究 : 第4報 部分的に摘葉処理をした桑における14C-光合成産物の転流について
佐藤 光政大山 勝夫
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1975 年 44 巻 3 号 p. 263-268

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抄録
桑の単葉からとりこまれた光合成産物の転流のパターンは同化葉の位置または葉令によつていちじるしい影響を受け, 葉令の若い上位葉からは先端部の茎葉への分配率が比較的高く, 葉令のすすんだ下位葉からは株や根への分配率が高くなることが知られている. 本報では枝条の上, 中または下部の14CO2をとりこませるべき葉(以下14CO2同化葉という)と枝条先端部, 株および根など光合成産物のシンクとなるべき器官の間にある葉を摘除し, 4日後に14CO2を同化させ, その後における14C-光合成産物の転流について実験を行なつた. 得られた結果の概要は次のとおりである. 1. 14CO2同化葉と枝条先端部との間の葉を摘除した場合には, 枝条先端部への転流が促進され, 株や根への転流は減少した. 2. 14CO2同化葉より下部にある葉を摘除した場合には, 株と根への転流がわずかに増加した. 3. 葉を摘除した部分の枝条中の比放射能は摘除していない部分にくらべて高くなる傾向が認められた. 4. 摘除される葉の量が多い場合には, 14CO2同化葉に保持されて他の器官に転流しない14C-光合成産物の割合が低下した.
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