抄録
植物生育調節剤モルファクチン(メチル-2-クロロ-9-ヒドロキシフロレン-9-カルボキシレート)は水稲に比べて水田雑草の生育を著しく攪乱する作用をもつので, 水田除草剤モリネート(3-エチル-ヘキサヒドロ-1H-アゼピン-1-カーボチオエート)と混合し, 湛水土壌処理を行い圃場条件下で除草剤の薬量軽減の可能性を検討した. その結果, モルファクチンは単独処理でも特にタマガヤツリ並びに広葉雑草に対してかなりの抑草効果を示すが, モリネートを一般使用量の60%程度(18g/a)まで減量しても5g/a程度のモルファクチンを混合処理することによつて極めて高い抑草効果を示し, かつ成苗移植水稲に対しては, モルファクチンの葉面散布で観察されたようなロール葉の発生その他の薬害は全く認められないことが明らかとなった. 以上の結果から, モルファクチンは水田除草剤の薬量軽減のための混合剤として利用可能であろうと思われる.