日本作物学会紀事
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メキシコ系ならびにアラビア系コムギ品種のサウジアラビアにおける収量解析
サマライ S. M.メグレツド F. I.
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1975 年 44 巻 3 号 p. 364-369

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抄録

メキシコ系短稈品種のもつ多収性をアラビア系の在来品種に導入するための基礎としてふたつのアラビア系品種すなわちS39 (サウジアラビア品種), Najah (レバノン品種)とひとつのメキシコ系品種すなわちMexi-Pak (パキスタンで育成されたメキシコ系品種)について収量解析を行なつた. おもな結果は次の通りである. 1) 収量においてアラビア系品種はメキシコ系品種に及ばなかつた. 2) アラビア系品種の収量がメキシコ系品種のそれに比べて低いのは, 稔実期の乾物生産が低いこと, ならびに乾物の穂への分配率が低いこと, にもとづく. 3) アラビア系品種で稔実期の乾物生産の低いのはおもにNARが低いためであり, 葉量が少いためではない. 4) アラビア系品種で乾物の穂への分配率が低いのは, 穂の"sink"としての容量が小さいことによると推定される. 以上の結果から, アラビア系品種にメキシコ系品種の多収性を導入しようとする場合, とくに稔実期におけるNARの増大と, 穂のsinkとしての容量を大きくすること, の2点に着目すべきことを結論した.

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