日本作物学会紀事
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グレインソルガムH-726の植物体各部発育の相互関係
ミルハディ M. J.小林 喜男
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1980 年 49 巻 3 号 p. 420-427

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抄録
本研究はグレインソルガムH-726について,発育の様相と植物体各部の発育の相互関係を明らかにしようとして行った. ガラス室内のワグネルポットに1977年7月21日に播種して,出穂期は各葉出葉期ごとに,出穂後は1週間ごとに7週間後まで採集した. 出葉の間隔は止葉出葉前はおよそ3日,止葉出葉期から出穂期(9月7日)までは7日ほどであった. 結果は次のとおりである. 1. 幼穂は11葉出葉期にすでに分化しており,出穂期に全長の86%まで伸長していたが,花柄は36%しか伸長していなかった. しかし花柄は出穂期以後急速に伸長して止葉葉鞘から抽出し,両者は同時に最高値に達した. 穂,花柄の長さおよび草丈は出穂後2週間で最高値になった. 2. 上位葉の葉鞘,葉身の長さと葉身幅は出穂後1週間で最高値になった. また葉身の長さと幅は各葉とも同時に最高値になった. 同一葉では葉鞘は葉身よりおくれて伸長しはじめ,下位の葉ではおよそ1葉期おくれて最高値になったが,上位の葉では葉鞘の生長速度が早くなり葉身と同時に最高値になった. 3. 最高値に達するのに上位葉は下位葉より長時間を要した. また生育の初期より後期の方が同時に伸長しつづけている葉数が多かった. 4. 節間の伸長は葉身や葉鞘よりおくれて始まり,上位のものは出穂後2週間で最高値に達した. 5. 節間の伸長が始まると間もなく節間部に根が分化し,節間の長さが最高値になると節間の基部から伸長を始めるという相互関係のあることが明らかになった. 本実験では伸長した根は第7節部までで,第8節部の根は原基のままでとどまった.
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