日本作物学会紀事
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CEPAおよびカイネチンによる馬鈴薯のオーキシン活性の変動
湊 知興喜久田 嘉郎岡沢 養三
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1980 年 49 巻 3 号 p. 461-466

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抄録
馬鈴薯塊茎を収穫後約5か月間,3℃暗所に貯蔵し,その頂芽部より採取した円筒状組織をCEPAで処理し,7日間,29℃の暗黒下で通気状態のもとにおいた. その結果,CEPA処理は萌芽を抑制し,その抑制の程度はCEPAの濃度に比例した. CEPA1.0mg区では,処理7日後でも萌芽がみられなかった. 一方,処理によって組織のエチレン放出量は短時間内に急増し,24時間後にピークに達し,その後も高レベルを保った. この放出量のピーク時に組織の遊離オーキシン活性の低下がみられたが,これはCEPA由来のエチレンによるもので,これが萌芽の伸長抑制の一因と考えられる. 他方,カイネチンで前処理するとその後のCEPA処理による萌芽の抑制とオーキシン活性の低下はみられなかった. この事実は,サイトカイニジは遊離オーキシン活性の維持を介して萌芽の伸長に作用しているものと解される.
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