日本作物学会紀事
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浸潤試薬での気孔開度の観察によるかんがい時期の決定
津野 幸人杉本 秀樹藤山 英保FEILLY I.
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1983 年 52 巻 1 号 p. 34-42

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抄録
乾燥地においては, 貴重なかんがい水の有効利用が作物栽培のうえで大きな課題である. 水分の過不足のおこらない, 適切なかんがい時期の簡便な決定法の確立が切実に要望されている. 著者らは, 作物葉の気孔開度を判定して, かんがい時期を決定する方法の実用性を検証する実験を, 1978年6月より8月の期間に, イラン国立土壌研究所, カラジ支所で実施した. 対象作物はテンサイ, トウモロコシ, スイカ, キュウリ, リンゴ, ナシ, ブドウであった. 気孔開度の判定に用いた浸潤試薬は, イソ・ブタノールとエチレン・グリコールの混合割合を変えて10段階としたものを用いた. いずれの作物も, 完全に成長をとげ, かつ, 日光のよく当たる位置に分布する葉は, 土壌水分の不足に敏感に反応した. すなわち, かんがい期間中は気孔を大きく開いているが, かんがいの中止によって土壌水分の不足がおきると, 気孔は閉じる. この現象を利用すれば, 簡単に水分不足のおこった時期が判定できる. 実施にあたっては, 日光のよく当っている旺盛な生理状態にある葉を, 5~10枚えらび葉の裏面に試薬を滴下して, 5秒以内に浸潤度を読みとることに留意すべきである.
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