抄録
学業成績を上げようとしたとき,認知心理学や教育心理学は学習方略に注目してきた。適切な学習方略を使用することによって,良い学業成績が獲得できる関係が示されている。これらの知見の多くが質問紙調査によって示された。質問項目に対して回答する際に,回答者は自身の認知や行動を適切に判断する必要がある。つまり,メタ認知が必要不可欠である。しかしながら,テスト得点の予想について,メタ認知能力の低い参加者ほど自身の得点を高く予想し,また,実際の得点は低いという結果が報告されている。そこで,本研究では英語のテスト実施後の予想得点と実際の得点とのズレを回答してもらい,ズレの大きさを独立変数として,方略使用の評価得点が異なるかを検討した。本研究の仮説は,①予想得点が高い学習者ほど方略をよそ使用していると評価するが,②予想得点と実際の得点とのズレが大きい学習者ほど,学習方略使用得点を高く評価している,の二点である。