日本作物学会紀事
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大豆の生長と窒素固定におよぼす硝酸窒素の影響
加藤 泰正武田 正男森 幹雄
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1984 年 53 巻 2 号 p. 176-186

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抄録
硝酸窒素濃度を3.75mM (低硝酸区), 7.5mM (高硝酸区) の2段階として大豆を水耕栽培したところ, 高硝酸区のN固定量は低硝酸区の1/3以下にすぎなかったが, 個体全乾物重と子実収量は, 低硝酸区がそれぞれ139.6g, 50.5gであったのに対し, 高硝酸区は195.2g, 75.2gと明らかに高かった. 低硝酸区のN固定速度 (個体1日のN固定量) とN固定効率 (根粒1g1日当たりN固定量) は, ともに既知の値より概して高かったが, にもかかわらず根粒のN固定能によっては窒素施用濃度の低下によって生ずる窒素吸収量の減少を補うことはできず, 低硝酸区の全窒素量は高硝酸区に比し著しく低い結果となった. 固定Nと培地由来Nの大豆体内での分布と利用は大体同様であるが, ただ稔実初期の約10日間は両者の利用に明らかな相違があり, 固定Nは大部分が子実によって利用されたのに対し, 培地由来Nは子実のみならず栄養体にも同時に利用された. したがってこの期間のみを見れば, 固定Nは培地由来Nよりも子実生産効率の点で明らかに優っているといえる. しかしこの差は稔実中期には消失し, 最終的には両窒素の間に子実生産上大きな相違は見られなくなる.
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