日本作物学会紀事
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冬季の低温によるチャ越冬葉の光合成明反応の阻害
青木 智
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1984 年 53 巻 4 号 p. 396-402

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抄録
秋冬季におけるチャ越冬葉の光合成速度の季節的変化, とくに冬季の低温による光合成の低下の原因について検討した. 10月から翌春3月までの光合成速度の変化を測定したところ, 11月まで上昇し, 1l月下旬に最高気温20℃, 最低気温10℃となると, 光合成速度は低下を始めた. 1月から2月初旬にかけて最低気温が0℃以下のときに, 光合成速度は最低となった. 低下時には品種間差異はみられなかったが, 低下程度ははつもみじが NN27, ZI よりも大きかった. その後, 光合成速度ほ徐々に増加したが, その回復は部分的であり, 最高速度の40-60%であった. クロロフィル量も冬季に低下したが, その低下は最低気温が0℃以下になったときにみられ, 光合成速度の低下する時期とは異っていた. このことは葉色の変化では光合成の低温阻害を確める指標とはなり得ないことを示している. つぎに, 光合成の低温阻害機構を検討するために, はつもみじとやぶきたを用いて, 冬季における光合成明反応と暗反応の変化を測定した. 可溶性タジパク質とフラクション-1 タンパク質量の変化は光合成速度の変化とは対応ぜず, またリブロース1, 5-シリン酸カルボキンラーゼ活性によっても光合成速度の低下を説明できなかった. 一方, 光強度一光合成曲線の初期勾配及び光飽和下のヒル反応速度は光合成速度と対応して変化していた. 以上の結果から, チャ越冬葉における光合成の低温阻害は光合成暗反応よりも明反応の抑制によることが示された.
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