抄録
数種のマメ科穀実作物を異なる水分供給条件下でポットで土耕栽培し, その影響を調査した. さらに, 生育の異なる段階にあるリョクトウに萎凋処理を行い, 生育, 収量に及ぼす土壌水分欠乏の影響をとくに窒素栄養と関連させて調査した. その結果, 下記のことが明らかとなった. 1. 各種マメ科穀実作物の子実収量, 植物体乾物重, 全窒素量は土壌への水分供給が制限されるに伴って低下するが, リョクトウにおける低下度合はダイズやラッカセイなどに比べて小さかった. 2. リョクトウの子実生産効率や子実タンパク生産効率は土壌への水分供給の制限によってほとんど影響を受けないが, ラッカセイでは水分供給の制限に伴い急激に低下した. 3. リョクトウに対する萎凋処理はいずれの生育段階においても, 子実収量, 植物体乾物量, 全窒素量, 窒素固定能および生産効率に対して抑制的に働くが, その抑制度合は開花期-英形成期の処理において最も強かった. 4. 萎凋処理に伴う子実収量の低下は着莢数や莢当りの子実重の減少に基因するが, 着莢数の減少が最も主要な要因として働いていた. 5. これらの結果から, リョクトウの栽培に際し, 着莢期以前の萎凋が子実収量や生産効率を顕著に抑制するためにとくに同時期での水管理に留意すべきである.