抄録
Andigena (S. tuberosum ssp. andigena)は, 近年バレイショ育種材料として有望視されている. そこで著者らは, Andigena 2系統(W553-4, C10193-1)を栽培品種, 農林1号と交配し, 2つの雑種集団(80135:W553-4×農林1号, 80136:C10193-1×農林1号)を作成した. 本報では, 実生2年目のF1集団を人為的選抜なしに植え付け, その収量性を明らかにするため収量および収量構成要素を調査した, 1. 各集団の平均値は両親平均に比較し, 塊茎数で大きかったが, 平均一個塊茎重では小さく, デンプン価でほぼ等しかった. また, 各集団の塊茎収量ならびにデンプン収量は小さい値を示した(第1表). 2. 両集団とも晩生および極晩生の個体が多かったが, 両集団の4%は農林1号に比べ熟期(茎葉黄変期)が早かった(第2表). 塊茎収量が両親平均を上回った個体数は, 80135で159(29.9%), 80136で99(43.2%)であった(第4表および第1図). 3. 両集団とも塊茎収量と塊茎数の間に正の, 塊茎数と平均一個塊茎重の間には負の高い相関があった(第3表). 4. 収量および収量構成要素間の相関分布図で, Tuberosum親(農林1号)に比べAndigena親に近い値をとる雑種個体が両集団とも多い傾向を示した(第2図).