日本作物学会紀事
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ダイズにおける窒素集積の季節的変化におよぽす化合態窒素並びに遮光の影響
Raafat K. RAVIE
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1986 年 55 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

ダイズを用いて, 化合態窒素施用根粒菌無接種 (N), 化合態窒素施用根粒菌接種 (N+R), 化合態窒素無施用根粒菌接種(R)の三処理と遮光(50%), 非遮光の光条件二処理を組み合せて, バーミキュライトポット栽培法により, 植物体各部位の窒素集積の生育段階ごとの変化, 根系呼吸活性 (CO2放出), 莢実蛋白生産効率 (莢実N量/全植物体N量×10)を調べ, 次のような結果を得た 1. (R)処理植物は, 他の窒素源処理植物にくらへて植物体のいずれの部位についても最も低い窒素含有量を示し, また, 莢実肥大期では (N+R) 処理植物が莢実と根粒を除く各部位について最も高い窒素含有量を示した, 2. 遮光処理植物は, 一般に非遮光植物にくらべて低い窒素含有量を示すした. 3. 根系の呼吸活性と植物体の窒素集積量との間には, 有意の高い上の相関が認められた. 4. 植物1個体当りの莢実蛋白量は (N)処理植物で最も高く, (R)処理植物で最も低かった。一方, 化合態窒素施用植物の莢実蛋白生産効率は, 遮光処理によって上昇するが, それは植物1個体当りの莢実総蛋白量の増加には反映しなかった. これらの結果から, 根粒菌の種千への接種に加えて化合態窒素を施用することは, ダイズの窒索栄養上有意義であり, とくに, 間作のような遮光条件や, 砂質土壌のような窒素質に乏しく根粒菌密度も低い条件下での生育において有意義であると結論された.

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