日本作物学会紀事
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二培地法により生長調整物質を与えたイネ分離種子根の生長
ラディ サイド・ハッサン前田 英三
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1986 年 55 巻 4 号 p. 504-512

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抄録
イネ分離種子根を, 二培地法により無菌的に培養した. 蔗糖と植物ホルモンを胚盤から与え, 根をMSの無機塩培地に入れた. 12.5%の蔗糖濃度が, 根の生長に好適であった. IAAとフィガロンほ, 低位または中位の濃度で根の生長を促進したが, 高濃度でほ阻害した. フィガロンの阻害作用は, IAAより顕著であった. カイネチンとベンジルアデニンは, 高濃度で特に著しく根の生長を抑制した. しかし, わずかな促進効果は, 非常に低い濃度(10-10M)で得られた. GA3とGA4でも, 比較的低い濃度で, 生体重・一次根長・全根長・側根数において促進効果が得られた. この場合でも, 高濃度では根の生長を抑制した. 得られた結果は, イネ分離根における植物ホルモンの制御作用を研究するために, 二培地法が好適であることを示している. 特にこの方法は, 植物体において, 茎葉から移動する植物ホルモンの根の生長制御に対する役割を明らかにするために有効である. これらの研究成果は, 関係文献に見られる実験結果とともに論議された.
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