トウモロコシ自殖4系統およびそれらの間の雑種第一代4組合せを材料とし, 生育時期にともなって, 単位葉面積あたりの光合成速度がどのように変動するかについて検討した. 材料は1974年6月上旬ポットに播種し, 葉色が退色しないよう適宜追肥を行ない野外にて生育させた. 光合成速度, 蒸散量の測定は生育時期を追って播種後ほぼ1ケ月ごとに6月末, 7月末(絹糸抽出直前), 8月末に着生したままの活動中心葉について同化箱法により行なった. 測定は温度30℃, 光強度0.45cal/cm
2/min (PAR), 大気中CO
2濃度下で行ない, 光合成速度はCO
2濃度0.03%における値で示した. その結果, 生育時期が早い時の測定においては, 4組合せのF
1すべてにおいてその光合成速度は, better parentの値よりも明らかに高く, vigorの程度も大きかった. しかし, 生育が進むにつれて近縁同志のF
1では光合成速度にvigorがあらわれない場合が多く, 遠縁間のF
1には一時vigorが消失するがそれ以後再びvigorがみられた(第1表). 一方, 蒸散量についても光合成速度の場合とほぼ同じ傾向が認められた(第2表). しかし, 窒素含量と光合成速度の間には1, 2, の特定の場合を除いて相関がみられなかった. また, 光合成速度と蒸散量の間には各測定時期ごとに強い相関がみられた. これらの結果は, トウモロコシの光合成速度にみられるF
1 vigorは生育時期および組合せにより変動し, それらの変動をもたらす主要な要因は気孔の拡散低抗の変動にあると考えられた.
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