日本作物学会紀事
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タイ国におけるロゼル (Hibiscus sabdariffa var. altissima L.) の栽培に関する研究 : 第1報 生長解析
SERMSRI NawaratTIPAYAREK Srisuda村田 吉男
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1987 年 56 巻 1 号 p. 59-63

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抄録
ロゼル(タイケナフ)の乾物生産過程の基本的特徴を明かにするため, 1985年, 品種Nonsoon-2を用い, タイ国コンケン畑作試験場において, 標準的な条件(無潅がい, N, P2O5, K2O施肥量各25 kg/ha)の下に圃場試験を行った. 4月20日に播種し, 30日おきに開花期過ぎまで合計6回, 毎回1区30個体ずつ4反復, 合計120個体を抜き取り, 生長解析を行って次のことを明らかにした. 1) 全乾物重の増大は播種後30日頃から急速となり, 120日頃まで続き, 最終乾物重(183日)は2,142g/m2に達した. 播種後30日から90日まで相対生長率(RGR)はほぼ一定値(5-7%/day)を示した. 個体群生長率(CGR)は播種後60-90日に最大値34.9g/m2/dayに達したが, これは温帯, 熱帯を通じてC3種としては著しく高い値に属する. 2) LAIは播種後120日で最大値6.3に達した. 3) 全乾物に対する根重の割合は全生育期間を通じてほぼ一定の著しく低い値(7-9%)を示すという特異な現象が見られた. これに対し, 茎重の割合は最初の34%からほぼ直線的に増大して183日目には87%となり, 繊維収量に最も密接な関係をもつ皮部の割合は播種後120日目の32%から最終日の38%まで増大した.
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