日本作物学会紀事
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熱帯地域における稲作およびその生態生理学的研究 : 第1報 インドにおける数種栽培稲の栽植密度, 植付けの深さ, 根系および葉緑素含量について
谷山 鉄郎スバイヤ S. V.ナラシマ・ラオ M. L.池田 勝彦
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1987 年 56 巻 2 号 p. 220-225

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抄録
本報告は, 1985年7月11日から1986年1月11日まで, 日本学術振興会とインド科学アカデミーの特定国派遣研究者事業の一環として行われた調査, 研究の一部である. 本調査はインド・デカン高原(海抜550m)における水稲栽培の実態を調査し, 問題点を明らかにしようとしたものである. デカン高原における水稲栽培は, Kharif (rainy season) と Rabi (dry season)に大別されるが, 本調査はKharifについて行われた. 苗床への播種は5月下旬~6月中旬に行われ, 本田移植は6月下旬~7月中旬であった. 調査に用いた栽培品種は, 改良品種として Vijayamahsuri, Sonamahsuri, 在来品種として, 香り米のBasmatiとHR59 (Kakirekkalu)であった. 耕起, 代かきは牛耕で, また田植えは手植えで行われるが, かなり不均一であった. 作土は20.4~34.7 cmと深く, 一株当りの植付け苗数は4.3~5.5本であった. 深植えが依然として行われ, Vijayamahsuriの5.8cm以外は8cm以上であった. 深植えに伴なう二段根や三段根の発生, 初期生育の遅れおよび分げつの抑制が見られた. 植え付け密度は品種によって著しく異なり, Basmatiは330個体/m2であった. 苗の各葉位の葉緑素含量にも著しい差異が認められた. 従って, 健苗育成や肥培および水管理の重要性が指摘された.
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